いえばよかった日記

書評と創作のブログです。

2020-05-01から1ヶ月間の記事一覧

ユーモラスな死の演習 多和田葉子『犬婿入り』について

いずれ迎える死を内に抱えた人間はみな等しく死刑囚のようなものである。最期の瞬間をひとたび想像すれば、誰もが叫び出さずにはいられないような底の抜けた恐怖に襲われる。人が平気な顔をして通りを歩くことができるのは待ち構えている運命を見ないように…